「じゃあ、お食事楽しんで来てくださいね。」
私はその場を後にした。

私はいつも通り、その後事務所で作業に追われていた。
夕方になり、もうそろそろ送迎の添乗の時間だと思い作業をいったん中断させ、
玄関の方を見た時だった。キヨさんが次男夫婦と一緒に帰って来たのが見えた。
入り口に車がとめられ運転席のドアが開き、トランクが空けられ、白髪の男性がいそいで入り口がわの後部座席のドアを開ける。
車いすをドアの横に付け、キヨさんは抱えられるようにして車いすに乗った。
キヨさんの表情がこころなしか暗かった。
次男だと思われる男性がキヨさんの車いすを押し、その後から荷物を持った
お嫁さんが追いかけて来てキヨさん達と一緒にエレベーターに乗り込んだ。
なにかあったのだろうかと私は心配になり、明日聞いてみようと思った。
あんなに楽しみにしていたのに、どうしたのだろうと私は哀しくなった。
自分の祖母は元気だろうか、そんなことまで考えていた。


私は添乗が終わり、事務所に戻ろうと廊下を歩いていると、相談室から
話し声が聞こえて来た。