おそるおそる、私は文をひらく。 そして見事に固まった。その文を同じく見た女房もまた、頬を赤く染めた。 君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな (あなたへの想いがかなうなら命も惜しくはなかったが、それが成就した今となっては、逆に生き長らえたいと思うようになった。)