「ねぇ、ヒロ!どこ行くの?」
ヒロはさっきからどこかに向かって歩いている。
「・・・」
「ねぇ!」
さっきからこんな感じだ。
でも、無視はひどいや、さすがに。
しばらく歩くと、一面草が生い茂っている場所に着いた。
「やっとついたか。」
やっとヒロが言葉を発した。
「ここどこ?」
「さぁ」
そういってヒロはいつものように笑って草の上にねっころがった。
私も笑い返すと同じように草の上にねっころぶ。
「星奈といられる時間もあと少しか・・・」
ヒロがポツリと呟く。
「・・・そうなのかな・・・」
「もし俺がさぁ、死んじゃったら星奈どうする?」
ヒロが悲しげに聞く。
「泣く!めっちゃ泣く!」
「あはは。そんなに悲しんでくれるんだ。」
ヒロは笑っていう。
「あったりまえじゃん・・・」
「星・・・綺麗だね。」
しばらくの沈黙があった後ヒロが不意に言った。
「うん。」
「そういえばさ、俺と星奈が出逢ったときの事おぼえてる?」
「うん・・・」
確か私が屋上でなんか歌ってたときにヒロが入ってきたんだよね。
「そのとき何歌ってたか覚えてる?」
「覚えてない・・・かな?」
そう。
出逢ったときの記憶は鮮明にインプットされてるのに何を歌ったかだけはわからない。
「俺も。でも確かオリジナル曲だったよね。俺、あの歌もう一回聴きたいなっていっつも思う」
「ごめん・・・覚えてないんだ…」
心から思った。
ごめん
って