走って戻ってみるとその人は又、壁にへばりついていた。

(またくっついてる)
なんだかその姿が
おかしくて
笑いがおこる。



「おとなしく待ってたんですね。」

「あまり動けないんでね、後もし君が戻って来て俺が居なかったらそれも悪いし」

(居なくなってても良かったのに)



持ってきたコートを
差し出して
「羽織って下さい、
これなら堂々と商店街
に出られますよ」


「渡りに船だよ、
じゃぁ遠慮無く
着させてもらうよ」


「もう父は着ない
コートなんで持ってってください、
なんなら処分しても
構いませんので。」


「いや、そう言う
訳にも」


「本当にいらない
コートですから」


「しかし」



又、宮砂は言いかけたのを遮って大丈夫ですからと言って彼をその場に残し家に走って
帰って来た。


あんまりかかわり
合いたく無かったのも
有るし、知らない人だからもう良いでしょう。
と、自分の中で
決着を付けたのだった。