「その格好で商店街まで行くつもりですかー?」

又、私は声を上げて聞いてしまった。


「いやぁ生憎上着も着てこなくて、ほら今日はポカポカ暖かかったから…」


(そう言えば今日は桜が満開になりそうな暖かさだっけ)


「そりゃそうですけどその姿じゃ違う意味で凝視或いは、通報されますよ。」

「だから、人気の少ない道を行きたいんだが」


「………………」


ちょっと考えた私は
「そうだ、ちょっと待ってて下さい私家から
父の洋服を持って
きますから。」

「そりゃ悪いでしょ
迷惑になる」



まだ話してる途中だが、話を遮るように私は
此処に居るように
伝えて自分の家に
走り出した。




このまま戻らなきゃもう会う事は無いだろうが、なんとなくほっとけなく成っていた。


家に着いた私は父親の
着なくなって久しい
コートを引っ張り出して又、家を飛び出していた。



(私、何やってるんだろう。初めは怪しいと思ったじゃない、見ず知らずの人にここまでする必要が有るの?)