由佳は元々身長が人より小さくてそれを気にしていて、それでいて童顔なので未だに中学生に見られるのだ。


ムスッとして由佳が下を向いてノートを広げ始めたので、優治は

「怒ってんの？」

と苦笑しながら言った。


由佳はパッと上を向いて

「そうです。」

とだけ言って、また下を向いた。


そうすると優治は悪かったと言って由佳の頭を軽くポンと叩いて前を向いた。

由佳は少しびっくりしてもう一度顔を上げた。

自分の顔が熱くなっていくのがわかった。


だけど優治に気付かれるとまた小馬鹿にされると思い、由佳は何も言わず勉強を始めた。



由佳は中学の頃引っ越しをした都合で私立の女子中に行く事になった。

不運にも高校も女子高に行く事になってしまった。

だから異性との交流なんて一切無いと言っても過言では無いくらいだ。




数時間後、そろそろ疲れてきたなと感じ始めた頃に優治が立ち上がって由佳の方を向いた。

「そう何時間も勉強してたら疲れねえ？」

と優治は大きく背伸びをしながら言った。

「うん。少しだけね。」

「よし。じゃあちょっと出かけよう。」

「え？」

そう言うと優治は由佳の腕を掴んで進んで行った。

「え？ちょっちょっと！」