「なんでここにいるんだ?」

彼は、すごく驚いている。

「ごめんなさい!!あのったまたまっていうか…」

私が顔を上げると、そこには
悲しそうな顔をした格好いい人がいた。

「そうか。早く帰れ。もう暗いから。」

彼は私と目も合わせようとせずに淡々と言った。

「あのっ!お名前教えて下さい。」
「奏汰厚(かなた こう) だ。」


奏汰こう……
なんか思い出せなくて、でも知っている
そんなモヤモヤした感じが私をおそった。


「ありがとうごさいました。失礼します。」

あーーー!!!!
道分かんないじゃん!!


□■□

私が学校から出れたのは
午後7時30分だった。

帰り道も、家に帰ってからもあのモヤモヤした感じが
抜けなくて…。

「私、あなたのこと知ってるの?」


それしか考えることができなかった。
それにしても格好良かったなぁ。

なんて思いながら…