しばらく蓮は泣いていた。
15分くらいたっただろうか。
「落ち着いた?」
千尋は聞く。
「あぁ、ありがと。」
眦を拭いながら蓮が答える。
「……まて、今何時だ…。」
「12時……45分ね。」
「やっべっ……!!」
頭領からもらった仕事を一時間で終わらせるつもりでいたので、少しあわてる。
「あ、ごめん。邪魔したね。」
千尋が部屋から立ち去ろうとしていた。
「ちょっと、俺の部屋にいてくれ。」
「え?なんでよ。」
「俺…人が見てた方が仕事するのが速いらしい…母さんがそう言ってた。」
「そうなの?」
蓮は頷くと、紙束を手に取った。
すると…パララララ…と到底覚えきれないであろうその文字列を全て眺め始めた。
最後のページまで眺めると、その紙束を完璧に閉じてしまう。
「……?」
千尋は蓮が何をしたいのかさっぱりわからなかった。
(今ので覚えられるわけはないのに……)
蓮はパソコンに向き合う。
キーボードの定位置に手のひらを合わせる。
息を軽く吸ったかと思うと…
もう………………見えなかった。
「…………え?………」
千尋は目を疑った。
カタタタタッという切れのないキーボードの音と、画面に打ち込まれていく止まることのない文字列を見て心底驚いた。
蓮はブツブツと呪文のように何かを呟いている。
おそらく紙束の文字列であろう。
(あの一瞬で……っ!?おっ……覚えたのっ!?)
そう思っているうちに、タンッという音が部屋に鳴り響いた。
それと同士に蓮がバタッと倒れ込む。
「ちょっ!?」
「あーーーー……楽しい……」
「は!?」
伸びていただけらしい。
「俺ホントにパソコン好きなのよ。」
ニッと子供のような笑顔を向けられる。
不意にもドキッとしてしまった。
「ありがとな、千尋。」
「わっ、私なっなにもっしてないわっ!!!」
言葉も少し飛び跳ねている。
蓮はそう言うとよいしょと起き上がり、パソコンからUSBを抜いた。
「おし、頭領のとこに持ってかなきゃなぁ…」
そして立ち上がる。
「千尋、部屋まで送るよ。」
「えっ?」
「俺の部屋には泊まりたくないだろ。」
「あっ、当たり前よっ!!!」
顔を見合わせて口角を上げる。
(悪いやつでは……ない……わね。)
千尋は改めてそう思った。
二人で話しながら千尋の部屋へ向かった。
「それにしても…記憶力すごいわね。」
紙束なんてそう簡単に覚えられるものではない。
「んー?そうでもねぇよ。母さんにこれだけは鍛えられたからな…。」
「ここの地図も覚えてるんでしょ?」
「まぁな、トイレの個数から…排水溝の数…進入できそうなとことか……個人の部屋の間取りとか…覚えてるな。」
「へぇ~っ…!!ほんとにスゴいわね。」
「千尋は寝るときにぬいぐるみがないと眠れないとかな。」
「へぇ~…………っえぇっ!?なんで知ってるのよっ!!??」
「ハッカーなめんなって。」
ニヤニヤ笑ってる。
「そこはハッカー関係無いでしょっ!!!!!」
千尋が叩こうとすると、蓮はその手を軽く避け
「腹出して寝るんじゃねぇーぞ?」
とにやけ顔で頭領の部屋へ小走りで向かっていった。
「………………馬鹿。」
千尋はドアノブに手を掛け、行き場の無くなった拳を見つめながらフッと笑う。
不思議と明るい気持ちだった。
15分くらいたっただろうか。
「落ち着いた?」
千尋は聞く。
「あぁ、ありがと。」
眦を拭いながら蓮が答える。
「……まて、今何時だ…。」
「12時……45分ね。」
「やっべっ……!!」
頭領からもらった仕事を一時間で終わらせるつもりでいたので、少しあわてる。
「あ、ごめん。邪魔したね。」
千尋が部屋から立ち去ろうとしていた。
「ちょっと、俺の部屋にいてくれ。」
「え?なんでよ。」
「俺…人が見てた方が仕事するのが速いらしい…母さんがそう言ってた。」
「そうなの?」
蓮は頷くと、紙束を手に取った。
すると…パララララ…と到底覚えきれないであろうその文字列を全て眺め始めた。
最後のページまで眺めると、その紙束を完璧に閉じてしまう。
「……?」
千尋は蓮が何をしたいのかさっぱりわからなかった。
(今ので覚えられるわけはないのに……)
蓮はパソコンに向き合う。
キーボードの定位置に手のひらを合わせる。
息を軽く吸ったかと思うと…
もう………………見えなかった。
「…………え?………」
千尋は目を疑った。
カタタタタッという切れのないキーボードの音と、画面に打ち込まれていく止まることのない文字列を見て心底驚いた。
蓮はブツブツと呪文のように何かを呟いている。
おそらく紙束の文字列であろう。
(あの一瞬で……っ!?おっ……覚えたのっ!?)
そう思っているうちに、タンッという音が部屋に鳴り響いた。
それと同士に蓮がバタッと倒れ込む。
「ちょっ!?」
「あーーーー……楽しい……」
「は!?」
伸びていただけらしい。
「俺ホントにパソコン好きなのよ。」
ニッと子供のような笑顔を向けられる。
不意にもドキッとしてしまった。
「ありがとな、千尋。」
「わっ、私なっなにもっしてないわっ!!!」
言葉も少し飛び跳ねている。
蓮はそう言うとよいしょと起き上がり、パソコンからUSBを抜いた。
「おし、頭領のとこに持ってかなきゃなぁ…」
そして立ち上がる。
「千尋、部屋まで送るよ。」
「えっ?」
「俺の部屋には泊まりたくないだろ。」
「あっ、当たり前よっ!!!」
顔を見合わせて口角を上げる。
(悪いやつでは……ない……わね。)
千尋は改めてそう思った。
二人で話しながら千尋の部屋へ向かった。
「それにしても…記憶力すごいわね。」
紙束なんてそう簡単に覚えられるものではない。
「んー?そうでもねぇよ。母さんにこれだけは鍛えられたからな…。」
「ここの地図も覚えてるんでしょ?」
「まぁな、トイレの個数から…排水溝の数…進入できそうなとことか……個人の部屋の間取りとか…覚えてるな。」
「へぇ~っ…!!ほんとにスゴいわね。」
「千尋は寝るときにぬいぐるみがないと眠れないとかな。」
「へぇ~…………っえぇっ!?なんで知ってるのよっ!!??」
「ハッカーなめんなって。」
ニヤニヤ笑ってる。
「そこはハッカー関係無いでしょっ!!!!!」
千尋が叩こうとすると、蓮はその手を軽く避け
「腹出して寝るんじゃねぇーぞ?」
とにやけ顔で頭領の部屋へ小走りで向かっていった。
「………………馬鹿。」
千尋はドアノブに手を掛け、行き場の無くなった拳を見つめながらフッと笑う。
不思議と明るい気持ちだった。

