「何であんたが後任ハッカーなの。」
「前任ハッカー九条瑠璃の息子だからだよ。」
千尋はどうしようもない質問を投げかけてはため息をついていた。
返事なんか聞いちゃいない。
「香月さんってさぁ、珍しいよね。」
「なにがよ。」
「俺に惚れない。」
ブハッと千尋が吹き出す。
「自惚れもいいとこだわ。全員が全員あんたに惚れるわけじゃないのよ。」
「なかなかいないと思うんだけどなぁ…こんな完璧超人。」
「ハッ…、あんたナルシ?ご愁傷様。」
「面白いねぇ…ち・ひ・ろ。」
「名前で呼ぶな、変態。」
「あ、ひどい。傷ついたー。」
千尋は心のこもってない返事に呆れ顔。返事を返す気にもなれず。
黙ってスタスタと行ってしまう。
「待ってよ、千尋~。迷子になっちゃうよ。」
「永遠に迷っとけっ!!!」
ーーーー学校での性格と全然違う…なんだこいつ。
千尋は素直にそう思った。
少し油断していると…
パシッ…と後ろから腕を掴まれた。
蓮がダンボール片手に腕を掴んでいる。
「離せ……。」
千尋は背筋が凍りそうだった。
「ねぇ、賭けない?」
「…は?」
「千尋が俺に惚れるか否か。」
「んなの、賭ける必要ないわ。」
「否だもんな。」
そう言ったのはさっきまでオフィスにいたはずの広だった。
「広…」
「調子に乗るなよ…九条…。いくら瑠璃さんの息子さんだからって手加減しねぇぞ。」
「おや、番犬付きなのか。千尋は。」
「千尋の手を離せ。」
「はいはい、分かったよ。怖いなぁ…」
蓮はよいしょとダンボールを持ち直す。
「道案内はもう良いよ、調べてきてるから。」
「「は?」」
千尋と広は素っ頓狂な声を上げる。
「どうやって……っんっ!!」
あっという間に蓮の顔が近くに来ていて、柔らかいものが千尋の唇に触れた。
離れてからも少し熱を帯びていた。
顔が瞬時に朱くなる。
「後任ハッカー様をなめんなよ?んじゃ、ま、あとでな~。」
背を向けてヒラヒラと手を振ると蓮は迷った様子もなく廊下の向こうへと消えていった。
「ち……千尋?」
千尋は俯いてワナワナと震えていた。
広が千尋の肩に手を置こうとしたその瞬間…
千尋は顔をガバッと上げ
「初チューだったのに馬鹿やろーーーーーーっっっっ!!!!!!!」
広の耳が壊れるくらいの大声で叫んだ。
「私の青春返せっ!!」とか言う始末。
「広、行こう!!あんなのもう知らないっ!!!」
千尋はズカズカと行ってしまった。
「…………殺す。」
そう呟いた広の声は誰もいない廊下にこだました。
「前任ハッカー九条瑠璃の息子だからだよ。」
千尋はどうしようもない質問を投げかけてはため息をついていた。
返事なんか聞いちゃいない。
「香月さんってさぁ、珍しいよね。」
「なにがよ。」
「俺に惚れない。」
ブハッと千尋が吹き出す。
「自惚れもいいとこだわ。全員が全員あんたに惚れるわけじゃないのよ。」
「なかなかいないと思うんだけどなぁ…こんな完璧超人。」
「ハッ…、あんたナルシ?ご愁傷様。」
「面白いねぇ…ち・ひ・ろ。」
「名前で呼ぶな、変態。」
「あ、ひどい。傷ついたー。」
千尋は心のこもってない返事に呆れ顔。返事を返す気にもなれず。
黙ってスタスタと行ってしまう。
「待ってよ、千尋~。迷子になっちゃうよ。」
「永遠に迷っとけっ!!!」
ーーーー学校での性格と全然違う…なんだこいつ。
千尋は素直にそう思った。
少し油断していると…
パシッ…と後ろから腕を掴まれた。
蓮がダンボール片手に腕を掴んでいる。
「離せ……。」
千尋は背筋が凍りそうだった。
「ねぇ、賭けない?」
「…は?」
「千尋が俺に惚れるか否か。」
「んなの、賭ける必要ないわ。」
「否だもんな。」
そう言ったのはさっきまでオフィスにいたはずの広だった。
「広…」
「調子に乗るなよ…九条…。いくら瑠璃さんの息子さんだからって手加減しねぇぞ。」
「おや、番犬付きなのか。千尋は。」
「千尋の手を離せ。」
「はいはい、分かったよ。怖いなぁ…」
蓮はよいしょとダンボールを持ち直す。
「道案内はもう良いよ、調べてきてるから。」
「「は?」」
千尋と広は素っ頓狂な声を上げる。
「どうやって……っんっ!!」
あっという間に蓮の顔が近くに来ていて、柔らかいものが千尋の唇に触れた。
離れてからも少し熱を帯びていた。
顔が瞬時に朱くなる。
「後任ハッカー様をなめんなよ?んじゃ、ま、あとでな~。」
背を向けてヒラヒラと手を振ると蓮は迷った様子もなく廊下の向こうへと消えていった。
「ち……千尋?」
千尋は俯いてワナワナと震えていた。
広が千尋の肩に手を置こうとしたその瞬間…
千尋は顔をガバッと上げ
「初チューだったのに馬鹿やろーーーーーーっっっっ!!!!!!!」
広の耳が壊れるくらいの大声で叫んだ。
「私の青春返せっ!!」とか言う始末。
「広、行こう!!あんなのもう知らないっ!!!」
千尋はズカズカと行ってしまった。
「…………殺す。」
そう呟いた広の声は誰もいない廊下にこだました。

