オフィスのドアをダンボールを持って入ってきたのは…
ーーーーーーー我が校の王子様こと九条蓮その人であった。

「失礼します。」

そういうと、ダンボールをそっと床の上に下ろす。千尋は気絶寸前。そんな千尋を広は片手で支える。

「今日からハッカーを務めさせていただきます、九条蓮です。どうぞよろしく。」

するりと自己紹介。

「というわけで、九条蓮君だ。みんな、よろしくな。」

と卍が言う。

「何でこいつなのよ…。私の平和な生活はどこ行くの……。」

千尋は意識を何とか連れ戻して蓮を睨んでそう言った。

「んじゃ、千尋。案内頼むな。」
「はぁっ!?」
「命令だ。」

卍は実に楽しそうである。

「………ちっ。」

千尋は女の子らしからぬ舌打ちをすると

「ついてきたかったらついてくればいいでしょっ!!」

と啖呵を切ってドアを力の限り押し開け外へ出て行った。

「待って下さいよ、先輩。」

小馬鹿にしたような態度で蓮も後を追っていった。

「騒がしくなりそうだね。」

苦笑しながら哲が言う。

「いろんな意味でね。」

そう言った玲の目線の先には……いつもより仏頂面をしている広がいた。