「ふあーーーーっ」

月曜日の朝六時、千尋はベッドで大きく伸びをした。
顔を洗い、制服を身につけ、部屋を出た。
すると同じ学校の制服を着た男子生徒にぶつかってしまう。

「うにょっ……!!!」

あいたたた…と顔を上げると、眼鏡をかけた蓮がいた。

「……おはよ、千尋。」

低血圧らしい蓮が言う。
不意にもキュンとしてしまった。

「おっ……お…おはよっ。」

千尋はドギマギしながら返事をする。

「………眠いな…。」

そう言いながら、蓮はのそのそとオフィスの方向へと足を向けた。
千尋も後をついていく。

「……ねぇ。」
「……………ん?」
「何で眼鏡?」

千尋は気になっていた疑問を投げかけた。

「コンタクトなんだよ、いつも。」

寝ぼけ眼をこすりながら蓮は言った。
オフィスのドアをあける。
中にいたのは、玲、卍、哲の3人だった。
広は登校時間がみんなより早いので、この時間に会うことはない。

「おはよー、千尋、蓮。」
「今日も可愛いな、千尋。」
「おはよう、千尋、蓮君。」

みんな口々に「おはよう」を言う。
1人だけ変態が交じっていることはいつものように全スルーで席に着く。
いつものように玲が朝食を作ってくれていた。

「蓮君は慣れた?ここの暮らし。」

ふと、玲が蓮に聞く。

「え、あぁ、はい。まぁ……そうですね。………千尋もいるし。」

蓮の余計な一言で千尋は飲みかけのコーヒーを卍に吹き出してしまった。

「何で私がでてくるのよっ………ゴホッ。」
「千尋落ち着きなさい……」

隣の哲が千尋の口を拭う。
卍は放置。

「やっぱ同級生がいると頼りになるな。」

ニヤニヤしながら蓮が言う。

「チッ。」

千尋は舌打ちをすると朝食のサンドイッチをひっつかみ、オフィスのドアを駆け抜けて行った。

「あらら…ホントに女の子らしくないんだから。」

優雅にコーヒーをのみながら腹黒王子は呟いた。