私立皇成高校 見事合格した私はこの春ここに入学した
桜の花びらが綺麗に咲いている

「綺麗だなぁ...お祝いされてるみたい...」

初日でどきどきした私は予定よりも遥かに早く着いてしまった
だから、皇成の庭に咲いている桜の木を見つめていた

「あんた何やってんの? うちの高校の制服・・・」
「・・・っ!?」

この人は誰ですか!?校章がある...2年生みたいだ
え・・・と、言うことは先輩ですか!

「どうしてこんな時間に? まだ開かないよ。
 それとも...もしかして君、この風景見に来たの...?」

その人がそう言って桜を指差した
見てみると

「わぁぁ...すごい、綺麗」

太陽が桜を照らして桜が光を帯びてるみたいだ

「だろ? これは俺だけの風景だったのになー」
「あ、あの...何ていうかごめんなさい…」
「別にいーよ。今度から俺と君の風景になっただけだ」

その人はふっと崩した笑みを浮かべた

「そういや、名前は?」
「えっと、神凪優妃です…」
「かんなぎゆうひ? 変わった名前だね」
「はは、よく言われます」
「俺は如月幸人、幸いに人って書いてユキヒト」

如月幸人先輩...かっこいい名前だなぁ

「いい名前ですね、いかにもって感じします」
「いかにも...か、どうも・・・」
「…?」

先輩の顔は少し悲しそうな顔をしていた

「じゃあ、ね」
「あっ、はい…」

その後入学式を終えて無事に寮にたどり着いた
空いてる部屋が先輩と、だというのでちょっと躊躇したけど
とても優しい先輩だった

「神凪優妃ちゃんでしょ? 聞いてるよ、さ、どうぞ」
「あっ、どうも…え、と」
「あぁ、あたしは上川リナ、よろしく」

この先輩なんて美しいんだろう...!
黒の長髪にスラっとした体・・・まさに理想の女性っ!

「優妃って呼んでいい? あたしはリナでいいよ」
「もちろん! り、リナ先輩」

初日にこんな先輩に出会えるなんて私ってば幸運!
まだクラスの人把握してないけど・・・仲良くなれるといいなぁ

「あ、優妃 そういえばさっき如月が探してたけど知り合いなの?」
「如月…? あ、如月幸人先輩ですか? 知り合いというか・・・
 今日初めて会ったんですけどね」
「そうなのか、あいつ女の子に声かけるようなやつだったかな?」

リナ先輩がうーん、と考え込んでいるので聞いてみた

「あの、如月幸人先輩ってどんな人ですか?」
「んー、大人しいっていうか冷たいっていうか・・・
 とにかく愛想が無い、かな?」
「そ、そうなんですか!?」

私の会った人は本当に如月幸人先輩なんでしょうか?
でも、確かに他の人と比べれば愛想はそんなに無かった・・・気がする

もっと詳しく教えてもらおうとしてリナ先輩を見ると
とっくにリナ先輩は寝ていた

「夜に弱いんですね、リナ先輩」

消灯の時間にも近かったので私も寝ることにした