「入学式の写真だぁ…懐かしい…。
日記に挟んでたのかなぁ…」
頬を緩め細めた目にまた涙が浮かぶ。
「幸せ…だったんだよ…。」
俺の肩に額をくっつけさめざめと泣くなぎさを、俺は安心させてやることしか出来ない。
…俺がもっと大人だったら、ちゃんと支えてやれたかな。
17という自分の年齢が歯がゆかった。
何も不安を要らないところに、さらってしまいたい。
2人だけの世界があればいいのに…な。
俺の服の裾を掴む弱々しい力に心が痛んだ。
シンとした茜色に染まる部屋の中で、高校生が
重すぎる現実を受け止めた日だった。