最後のぺージは、涙が乾いたあとで少しへたれていた。




それに負けず劣らず、なぎさの涙が文字を濡らす。












「…嘘、だよね………?



あたしのお父さんて…………
もしかして…。」









なぎさの言いたいことは十分にわかる。







名前が…


田辺皐月に、似すぎてる。









なぎさのお母さんもお父さんも



最後まで、なぎさを愛してたんだ。








…安心して下さい、なんて言えないが






そこで途切れてしまった分、これからもずっと、俺がなぎさを愛する。










そんなの、随分前から決めてる。












「…明日、田辺に聞いてみよう。今考えても仕方ない。」






そういってなぎさを支えながら立たせようとするとひらりと何かが落ちた。







床に裏返った写真を拾うと、それは…。








まだ背の小さい、なぎさと両親の写真。





きっと中学校の門であろうそれには、なぎさの右には彼女に良く似た髪の長い優しそうな女の人。



そして左には…爽やかで快活な印象を持つスーツ姿の男な人。






これが…なぎさの家族…。