ポツリと零した甘美で魅惑的な一言。



…何を思って、なぎさはそんなことを言ったのか。



今の俺には、その誘惑は毒にしかならないとわからないのか?




困惑と欲情。


すがりつくなぎさはなんでこんなに愛おしいんだろう。





「あたし…今自分がどこにいるかわかんない…。

…あたしに幸せを頂戴…。」








渇いてきた瞳がまた潤む。






「あたしの存在を教えて…

だからだぃ…!!」







最後まで言わせない。





言う前に、俺がなぎさの紅い唇を奪ったから。







もう無理。






どんなになぎさが欲しくても



隣で無防備な姿で寝られても





大事に大事に自分を抑えてきたのに。








なぎさ自身に欲情されちゃ、抑えられる訳がない。








「なぎさを…抱かせて。」








耳元で囁いた



俺なりの、精一杯の言葉。