…こういう時教室が遠いのってマジ不便。
教室に行くために階段をのぼりながら心の中で愚痴る。
「…ん?」
やっと教室の前に着き、ドアに手をかけようとすると中から声が聞こえてきた。
…この声……。
「麻美と…涼ちゃん?」
自分でも聞き取れないほどの小ささで呟いた。
なんでまだ残ってんだろ。
邪魔しちゃあれかなぁ…。
とりあえず入るのはやめて2人の話に耳を傾けた。
「だから…
なぎさ、本当にあのままで良いと思ってるの?」
どこか責めるような麻美の言葉。
「あんなこと言って…。
なぎさには、立石先輩が必要なんだよ!?」
「なぎさから離れたんだからしゃーねーだろ!
それとも麻美、責任取れんのかよ…。
もしなぎさがまた傷ついたら?
先輩がなぎさから離れていったら?
俺らが勝手なこと言って、なぎさが壊れたらどーしていいかわかんねぇよ…。」
「立石先輩はそんなことしない…っ!
涼雅、自分のことしか考えてないじゃん!
今のなぎさは…なぎさは…、
空っぽなんだよ…?」
「んなの知ってる…!!
でも俺だってこえーんだよ!」
「もぅ…っ涼雅なんか知らない!
なぎさの友達でいる資格ない!」

