「テツ先輩、
ごめんなさい……。
あたし…あたし…。」
自分のことしか見えてなかったのかな。
一番傷ついてたのは、傷ついたのは先輩だよね。
でも…もう戻れない。
先輩といるとあたし、幸せになっちゃう。
「これ…俺のアドレス。」
連絡してきていいから。
そう言って小さな紙をあたしのポケットにするりと入れた。
テツ先輩の、アド…?
「なぎさちゃん、ほっとけないし。
何か、理由があるんだろ?
話してくれるの待ってるよ。」
なんで…
友達の元カノにここまでしてくれるなんて、優しすぎるよ。
そんな優しさが胸に染みる。
あぁ、バカだ、あたし。
救って貰えるような人間じゃないのに。
…あ。
そうだ、行く場所があったんだった。
あたしに後ろを向いて歩くテツ先輩に小さくお辞儀して足早にその場を立ち去った。

