ヤバい、涙出てきそう。
知ってた。
一度喧嘩してから秋元先輩と必要最低限のこと以外全くしゃべってないって。
先輩のことは何だって噂になるから。
そんな噂も全部聞き漏らすまいと取り入れてた。
何だって知ってたかったから。
思わず足をとめて練習風景をただ眺めていた。
「…要、見てるの?」
いつぞやのように突然声をかけてきたテツ先輩。
「参ったよねー。足怪我しちゃって。」
…あぁ。
言われるまで全然気づかなかった。
ていうか、何も考えられなかった。
肩にかけているカバンをぎゅっと握りしめる。
「別に…。」
「なんでー…
嫌いだなんて嘘ついたの?」
射抜くような鋭い視線が痛い。
…この人は本当に先輩を大事に思ってるんだ。

