そんなあたしは今、あの家に向かうべく校門を潜ろうとしていた。
…メールしとこ。
ガサゴソとカバンを探る。
………。
「ケータイ、忘れた…。」
しまった。
あんまりぼーっとしてて机の中に入れっぱなしだった。
「最悪…。」
取りに帰らなきゃ、とくるりと方向転換をして教室へ向かった。
…なんの用なのかな。
なんで今頃呼び出したりしたんだろう。
若干足で擦る音をさせながらグラウンドの前を通る。
こっちの方が近道だし。
あんまり遅くなるとあれだもんね。
この道を選んで後悔したのはすぐ。
一番見たくない、部活の先輩を一瞬で見つけてしまった自分を恨んだ。

