「…顔酷すぎ…。笑」
腫れたまぶたにくすんだ隈。
メイクで隠したから今日はいつもより濃くなっちゃった。
でも良いや…。
先輩に見られることもないし。
今日は、放課後に、
…あそこに行かなきゃだから。
あんな顔で臨めるわけない。
いつもはポニーテールの髪を綺麗に梳いておろしたままにする。
気合い、入った…と、思う…。
大丈夫、先輩だって忘れられる。
大切な存在は涼ちゃんと麻美だけで良い。
お母さん。
今日、あたしはあのうちに行ってきます。
頑張るから…。
玄関で深呼吸を1つ。
なぎさはわざとローファーのかかとを鳴らして学校への道を歩いていった。

