「お前に決まってるだろ?二枝タケル」
名前だけならさっきから数度呼ばれているから解るけど、何でこの人苗字まで知ってるんだ?
状況を把握できていない俺を見かねて、総長が俺を振り返る。
「タケル……」
「はい」
さっきよりもますます複雑そうな、この人にしては珍しく困った顔で俺を見る。
「コイツの目的は最初からお前だったんだ」
「はぁ……はぁっ?!」
何で?
聞けば、彼女さんを連れ去ろうとしたのも、目的は俺。
最終的に俺と交換しようとかそういう理由だったらしい。
なんでも周りに溶け込み過ぎて埋まっている俺を探すより、彼女さんを見つける方が早かったからだそうだ。
敵対していたのも、俺がこっちのチームに入ってる事を、俺が総長に男惚れしている事を知り、それが悔しかったらしい。
それこそ、はぁ?だ。
どうして俺なんかを欲しがってるんだろう。
喧嘩とか出来ないし、何で俺不良やってるんだろうレベルなのに。
っていうか何故知ってる。



