「タケル?」
「……えっ?あ、はい!」
奥の人影を羨ましがっている間に、会話が進んでいたらしい。
返事をしそこなっていたんだろうか、総長が俺に声をかけてきた。
彼女さんが敵総長を睨んでいて、総長は複雑そうに……若干の同情を含んで俺を見ている。
何があったんですか、と聞く前に、さっきより少し離れて彼女さんと向かい合っていた敵総長が俺へと向き直った。
そして、口を開く。
「好きだ」
「…………何が?」
それ以外に俺の選択肢はあっただろうか。
もしかしたら、本当は彼女さん狙いだったのかもしれない。
けど、さっき俺にした事は?
……ああ、妬かそうと……いや、色々おかしい。
第一、総長は彼女さんラブだ。
まず近づかせないに決まってる。
なのにどっちかというと、俺への距離の方が近い。
っていうか俺と敵総長の間に立っている。
まるで俺を守るかのように。何故ですか。



