「タケルが汚されたー!!」
どうすべきかわからずに突っ立っていると、真っ先に動き出したのは彼女さんだった。
……ちょっと、そう叫ばれると、俺の予想は確定されるし、何かいろいろ複雑だ。
戸惑っている間に、彼女さんがズンズンとこちらへ進んでくる。
敵総長に掴みかかる勢いで近寄る。
何で誰も止め無いんだろう。
うちのチームも、相手チームも。
別にこれ位どうって事ないですよ、と俺が止めるべきだろうか。
でも気迫がすごくて口がはさめない。
困った。
今活動中なのは、彼女さんと敵総長のみだ。
動いているには変わりないけど、もう謎頭なんかは知らない。
「ちょっと何なの、どういうつもりなの?!」
彼女さんが敵総長の手を掴んだおかげで、俺の顎はようやく解放された。
ずっと上を見上げさせられて、少し疲れた首をぐりぐり動かす。
奥に見えた、恐らくカウンターの影に、シュッと人がしゃがんで隠れるのが見えた。
あの恰好は、多分バーテンだろう。
一応営業してるんだろうか。こんな状態だけど。
……っていうか俺も隠れたい。



