俺の顔を見た途端、彼は笑い出した。
なんと失礼な。
自慢するほどでもないが、そんなに笑いをとれる様な顔でもないはずなのに。
別に俺の顔の造形が爆笑の原因ではないと解ったのはその直後だった。
「いや、無理っしょ!男じゃん!どう見ても!」
爆笑したまま、つき通そうとしていた俺自身でさえ思っていた事を彼がようやく口にした。
だよな。
俺の感想はそれに尽きる。
でもこの場合、俺は女でつき通した方がよかったかもしれないのに。
だって女を殴らないとしても、男だったら?
これまた自慢じゃないが、殴られたら確実に怪我をする。
不良とか言われてもそれは見た目だけで、俺は痛いのが嫌いだ。
幼馴染に開けてもらったピアスも、片方でギブしたほどに。
だから騙されたふりを続けてもらえるならそれがよかったのに。
この謎頭の所為で俺の命は風前の灯かもしれないなんて!
その証拠に、敵総長の手は、再び俺の顔へと向かってきている。



