「げっ! 最前列じゃん!」

「うわー災難‼ 早く席替え出来るといいね。

ってか隣の人は誰だった?」



ウチの隣りって事は名簿1番の人だよね

えーっと……

「あかまつ…いつき?

ああ樹と隣だわ。」

赤松樹はウチの幼馴染。始めての男友達

今は昔みたいに一緒にはいないけど。

特別かっこいいとか頭がいいとか

そんなことはない至って普通の男子

でも人懐こく、誰にでも優しい樹はみんなから好かれていた。

(樹は、去年も同じクラスだし、退屈しないかな♪)


「紗紅は樹と隣かー。楽しそうだね‼」


まぁね。と答えて席につく。

隣りの樹は、机に突っ伏し項垂れていた。

「…どうしたん?樹。」

「ん?あぁ紗紅か…。おはよー」

やけに気だるい返事。樹はまだ続ける

「佐々木とか高谷とか、仲いい奴みーんな
クラス離れちまってさー。
俺もうやってけねーわ。1人確定。」


いやいやいや。樹に限ってそれは無いだろ

「でもま、去年のクラスの人がいて助かったよ。

太一や蒹哉、伊勢にまなとも同じだし。

お前も一緒だしな。」


「あーそう良かったね」


…感情起伏の激しい奴。

冷たくあしらったけど、本当はウチも嬉しかった。


樹と…最近ちゃんと喋ってないし。

これを気にまた仲良くやろう。


「ま、1年間よろしく!」

「おぅ‼」


慌ただしく過ぎた始業式。

学校が終わり、まなと別れて

桜満開の田舎道を自転車で駆け抜ける。

(明日が楽しみだな。)


桜の花びらに思いを募らせて

私はまたペダルを踏みしめる。