キーンコーンカーンコーン――……

誰もが聞き覚えがあるであろう、あのチャイムが鳴った。



「じゃあ、今日はここまで!今日やったところはテスト範囲だからしっかり復習しとけよ」

日直の起立、礼 という声で昼休みは始まった。



俺は 桜庭 湊 サクラバミナト 23歳

高校1年生の3クラスで数学を教えている。

先生たちの中でも一番生徒との歳が離れていない。なので友人のように話しかけてくる生徒が多かった。



「ねーせんせー眠いよ~」

授業中ずっと机にへばりついていた顔をやっと上げたかと思うとこの一言。呆れるしかなかった。

東雲美里 シノノメミサト 15歳
本当に若いとしか言いようがない

彼女の席は教卓から一番近い、真ん前だ。


「東雲……おまえまた深夜番組ばっか見てたんだろ」

「へへーバレた?昨日のバラエティ面白くってさぁ」

後海外ドラマの再放送があってね、とかなんとか言っていたが聞き流してしまった。

屈託のない まさに子供の笑顔で笑う。

地毛だという透けるような栗色の髪と目。肩につかないショートカットも、小柄なところも子供特有の愛らしさを感じる。