○京都府警本部、外

○同、内、階段下
山本本部長が階段を降りていく。
出羽と亀山が帰ってくる。
本部長と出くわして直立敬礼する二人。

(出羽、亀山)「あ、本部長」
(本部長)「ああ、君たち、ちょっと。盗難課だね?」
緊張する二人。

(本部長)「最近どうかね?何か変わった事はないかね?・・ん?」
(出羽)「変わったこと?全くありません。いたって健康です」
亀山、肘で出羽をつつく。
(出羽)「あ、事件のほうですか?事件のほうは・・へんめん、
あ、いや盗難事件が」

(本部長)「へんめん?」
本部長、周りを見、二人を脇へ連れ込む。
(本部長)「いま、変面とか言ったな」
(出羽)「あ、はい」
亀山、不安そうに見つめている。

(本部長)「二人ちょっと部屋まで来なさい!」
(出羽、亀山)「は、かしこまりました」
不安顔で互いに顔を見合す二人。

○本部長室、内
デスクがでんとあり。『山本本部長』のプレート。
デスク前にテーブルとソファー。
ソファーに本部長、向かいに出羽と亀山が座り、
秘密めいた雰囲気で話している。

(本部長)「(大きくうなづきながら)そういうことか・・・」
(出羽)「ええ、まあ」
二人うなづきあいほっとしている。
本部長、腕組みをして考え込んでいる。

(本部長)「実はな、変面というのは怪人二十面相のことなんや」
(二人)「ええっ!」
(出羽)「怪人二十面相てあの・・」
(亀山)「少年探偵団の・・・」

本部長、ゆっくりと立ち上がり、つぶやく。
(本部長)「これはひょっとすると大事件になるぞ」

○盗難課、内
奥で課長と美人の婦警が仕事している。
出羽と亀山がそっと入ってくる。
(出羽)「これは大変なことになりそうや・・・」

課長が立ち上がり二人に何か言おうとしたその時に電話。
課長、電話を取る。二人神妙にたたずんでいる。

(課長)「(二人をにらんだまま)ハイこちら盗難課!
えっ?本部長!・・・あ、はい。・・はい、分かりました。
しっかり頑張るように、ハイ、激励しておきます。ハイ」

出羽と亀山、顔を見合わせ笑む。