○輪転機
新聞の輪転機が回っている。
各紙の一面が次々重なる。

『怪盗変面!京都に現る!』
『怪盗変面!府警に挑戦状!』
『超プロ集団!怪盗変面窃盗団!』

写真入り文面がそれに続く。
かっこよく修正された笑む怪盗変面の
写真と『笑う人魚の像』が大写し。

○広隆寺、山門前
長い人の列ができている。
ほとんどが今までの登場人物である。

『怪盗変面作笑う人魚の像写真撮影会会場一回千円』
の大看板。アルバイトが二人『お静かに』と
『待ち時間1時間』の扇子を持って整理している。

○同、境内
長い列ができている。
受付に作男とバイトの女の子が座っている。
ダンボール一杯のお札が見える。

作男振り返ってニタリと笑う。
出羽と亀山、山本本部長も私服で並んでいる。
記者の皆さん。

原田、山本、木村、高田、愛と太一。
撮影所の皆さん。見物客の皆さん。
盗難課の課長と婦警。

所化、女官、監督。修学旅行生。
変面と忍者たち隠れてきている。

○同、本殿、内
『笑う人魚の像』がある。
台座に『怪盗変面作』と書いてある。

写真撮影風景。
バイトの撮影係が、セットしながら、
フラッシュ、シャッターを切っている。

(撮影係)「ハイチーズ!・・ハイOK!」
脇で住職と出羽と亀山が話している。

(出羽)「いやあ、大盛況ですな」
(住職)「ああ、ありがたいことじゃ。変面さんの
アイデアで、これから有名になるから撮影会をやりなさい、
と手紙に書いてあったんじゃよ。ほほほ」

(出羽)「そうですか、しかし、大盛況ですな」
亀山、メモを取りながら、
(亀山)「犯人は必ず現場に戻るはずだ」

フラッシュが輝く。
(撮影係)「ハイ、次の方」

薄暗がり、長い列の先頭から愛、太一、高田、木村、
原田、山本が出てくる。
(山本)「(係に)六人で一枚!」

薄暗がりに次の客が出てくる。よく見えないが
その客はシルクハットをかぶっている。

愛と太一が像の下に顔を並べる。
木村と高田、山本と原田両脇に顔を出す。
(撮影係)「ハイ、変面!」

フラッシュが輝き、『笑う人魚の像』と
六人の顔のストップモーションが大写し。

                    第一話 ー完ー