○京都府警本部、記者会見場、内
正面に長テーブル、中央に山本本部長。
両脇に出羽と亀山、不安げに座っている。
十数名の記者達。一人覆面をしている。
司会の警官が脇に立っている。

(司会)「それでは記者会見を始めます。
状況説明!山本本部長!」

(本部長)「えーまず状況を説明させていただきます。
昨夜の広隆寺国宝窃盗事件。さらにその前の平安神宮
神器窃盗事件。さらにその前の清水寺黄金仏窃盗事件
は、同一犯ということが判明しました。犯人は!」

皆、メモの手を止めて本部長を見る。
(本部長)「犯人は、怪盗変面とその一味!」
皆一斉にメモを取る。覆面うなずく。

(記者1)「へんめん、てどんな字ですか?」
(本部長)「変な人の変とお面の面です」
(記者1)「なんですか、それは?」

(司会)「あー質疑応答はあとで願います!」
皆、へんめんといいながらざわめく。

(本部長)「えー本日、怪盗変面窃盗団捜査本部が設置
されました。本部長はこの私。現場の責任者はこちら、
出羽警部と、こちら、亀山刑事」

出羽と亀山、立ち上がって礼をし着席。
(本部長)「以上で状況説明を終わります。
質問を受け付けます」

(記者2)「ハイ!」
(本部長)「どうぞ」
(記者2)「一味の人数は何人くらいですか?」
(本部長)「少なくとも十数名と思われます」

皆一斉にメモを取る。覆面が一人、腕組みして
うなずいていたが、皆と同じようにメモを取る。

(記者3)「ハイ!まだ事件は続きますか?」
(本部長)「相当訓練されたプロの集団のようでして、
即刻逮捕は、ちょっと無理です」

(記者1)「ハイ!変面てなんですか?
見たひといるんですか?」

(本部長)「実は見たものがおるんです。こちらの
二人がそうです。本日は日ごろご協力をいただいて
おります皆様方に特別プレゼントをいたします」

本部長、目で出羽に合図をする。
(本部長)「この優秀なる二名の記憶力を下に、
怪盗変面のモンタージュをを公開いたします」

出羽と亀山、立ち上がって大きな紙の巻物の
両端を持って広げる。

HENMENと書かれたシルクハットにピエロ顔、
黒マスクめがねのものすごくへたな絵である。

記者たち驚き、前に進み出る。
覆面男が一人後ろの席で眠っている。