○広隆寺、本殿、外
住職が四人を招きいれる。

○同、本殿、内
国宝半跏思惟像が厳重に安置されている。
住職と四人がいる。
(木村)「まあきれい!」
(高田)「ほんまや。こりゃとてもかなわんわ」

原田と山本、像をチラッと見ただけで他を探っている。
(住職)「えー、この半跏思惟像は国宝第一号でありまして、
半分足を反対の膝に乗せているので半跏。思索にふけって
いるので思惟、このまなざしと麗細なる指の形は・・・・」

木村と高田はうなづき傾聴している。
山本は天井を見たり柱に触ったりしている。
原田はじっと像を凝視している。

(住職)「・・・と言う訳で国宝第一号となりました」
うなづく木村と高田。
原田がいきなり像の胸を指差して、
(原田)「ずいぶんと重そうですね?この像」

(住職)「そりゃ重いですよ、中身が一杯詰まっていますから」
住職、しまったと思う。
(住職)「ええと、高さが150センチ。重さはと・・・」

原田、しめたと山本に目配せする。
四人、顔を見合わせてうなづく。

○同、本殿、外
住職に礼をして去る四人。
じっと見送るせむし男。
振り向いてニタリと笑う。
四人、いきなり近づいて、

(木村)「すいません。こっちからも出れますか?」
せむし男、大いに驚き、ううう!とうなづく。

○京都府警本部、外

○同、本部長室、内
山本本部長がデスクに座っている。
出羽と亀山が立ったまま報告をしている。
(出羽)「・・・・と言う訳であります」

(本部長)「ふむ、それじゃあ当日何人か応援をまわそう。
パトカーも1台でどうだ?」
(出羽)「は、ありがとうございます」
出羽と亀山、深々と頭を下げる。

○同、廊下
出羽と亀山が並んで歩いている。
(出羽)「この手で変面をとっ捕まえてやる」
(亀山)「そう簡単に捕まえられますかねえ?」
(出羽)「なに?」
出羽、亀山をにらみつける。