雪が咲く世界

勉強を始めたら意外と彼は真面目にやりだした。

何故これを授業でやらないのか。


「問い2はここがこうなるから、答えがコレになるのです」

「おー…なるほど。じゃ、これも2の問題と一緒な感じでやればいいのか」

「はい。杜若くんは飲み込みが早いですね」

「おだてても何もでねぇよ?」

「本心ですよ」


飲み込みが早いというの別に世辞のつもりで言ってない。

彼は本当に吸収力が凄い。

授業を真面目に受ければ、きっとかなり良い点数が取れるだろう。


「雪空ー終わったぜ」

「早いですね…見せていただけますか?」

「おう」


彼が差し出してきたノートを答えと照らし合わせれば、見事に全問正解していた。

応用とはいえ、最後の引っ掛け問題まで正解するとは思わなかった。


「全て正解です」

「まじか!よっしゃ!」

「ご苦労様です。これで今日の分の問題は全て終わりました」


時計をチラッと見ると5時半前を針は指していた。

もっと時間が掛かると思っていたが、かなり早く終わったな。

これならスーパーに行けそう。

そんなことを考えながら教科書と筆記用具を片付ける。


「それでは、さようなら」


鞄を持ち、一刻も早く去りたい気持ちから素早く帰ろうとしたが、制服の袖を引っ張られて私はガクッと動きを止めた。


「なんですか?」

「もうかなり暗いから送る」

「遠慮します。寮に住んでますので」

「あ、なら余計一緒に行く。俺も寮住みだからな!」

「…スーパーにも寄るので本当に結構です」

「俺も夜ご飯買うから一緒に行く!」


私の拒否オーラを感じないのか感じてないフリをしてるのか、とにかくしつこく着いて来ようとする杜若くん。

女の人に優しいと聞いた事があるが、どうやら本当だったらしい。

しかし私からしたら優しさどころか迷惑としか感じない。


「ほら、スーパー行くぜ!!」

「ちょっ…!」


私の腕を掴み早足で歩き出した彼を本気で張り倒したいと思った。