その事については兄も色々と不思議だったようで、
男を部屋に連れ込む母親を如何わしい目で見つめている光景をよく目にした。
でもお互い何も聞くこともなく、比較的静かに、いい子に過ごしていた。
事件が発生したのはそれからおよそ1ヶ月後。
兄が風邪にかかったときだった。
学校から早退せずに苦しそうに帰ってきた兄は
当時中1。
その日も母親は部屋にまた別の男を連れ込んでいた。
あたしはダルそうに帰ってきた兄の
異変に気付き、冷やしたタオルと
体温計を準備して、兄を兄の部屋に寝かせた。
兄は手にいくつもの錠剤を握っていた。
「これ、お母さんの机の引き出しから見つけた。風邪薬だって。」
と、何やら歪な形をした袋から取り出した。
それは明らかにただの薬ではないと
なんとなく分かった。
