新訳浦島太郎~another story~

太郎は事態が飲み込めず、言葉を出すことも出来ませんでした。
確か、ついこの前までは、美鈴と家族と、集落で仲良く暮らしていたはずだ。

それが突然、疫病が流行り、集落のみんなが死んでしまったと告げられ、今度は竜宮城なる場所へ導かれ、この世のものとは思えないほどの素晴らしい待遇を受け、そして気がつけば時は流れ、未来へとたどり着いた。

そして薬を飲み、目覚めると美里という美鈴そっくりな女性に出会い、今、見ず知らずである僕を介抱してくれている。

僕はこれからどうなってしまうのだろう。

まだたっぷりと液体の残っている瓶を握り締めながら、太郎は見たこともない近代化した景色を眺め続けていました。