新訳浦島太郎~another story~

「あなた、家はどこにあるの?お母さんかお父さんは?」

「僕には、もう帰るところがない、全てを失い、もうこのままここで死のうと考えていた。」

「し、死ぬ?死のうとしていたの?帰るところがないってどういうことよ。」

「わからない。今はもう……何も考えられない。」
「……うーん、わかった。じゃあとりあえずこっちに来て。もうそんなこと聞いてしまったからにはこんなところに一人で放っておけないわ。とりあえず私に付いて来て、ほら、歩ける?」


美里と名乗るその女性は太郎の手を取り、近くに停めていた車へと案内しました。