「大丈夫か?夏恋」
「ほう、じょう…さん…」
宝条さんが、右手をプラプラさせながら、私の後ろに立っていた。
宝条さんは、呆然としている私の背中を押し、汰斗さんの方へ歩く。
そこには、湊くん、渚くん、相良さんもいて、私を見る目は、心配の色に染まっている。
「夏恋ちゃん、大丈夫だった?」
「もうちょっと早くに連絡寄越せ……大丈夫だったか?」
「夏恋ちゃん怖かったでしょ?ほら、オレの胸に飛び込んでおいで」
「ふざけてんなよ」
それぞれに心配したと言われ、申し訳ないのと、嬉しいという感情がごっちゃになった。
「夏恋…、」
「たい、と…さ、」
湊くんたちの後ろから、汰斗さんがバツの悪そうな顔をしながら出てきた。
その姿を見て安心したのか分からないけど、涙腺が崩壊した。
「…っ、わる、かった…」
「っ、だい、じょ…ぶ、です…」
泣き出した私を引き寄せ、背中をさするぎこちない手。
それに更に安心したのか、私の涙の勢いが増した。
汰斗さんは私が落ち着くまで抱きしめてくれていて、湊くんたちも、何も言わずに頭を撫でてくれた。


