傍にいさせて






数分して、汰斗さんは戻ってきた。



汰斗さんの手には、何もなかった………けど、さっき細身のジーンズのポケットに、小さな紙袋を入れているのを見た。



……どう、するのかな…アレ……。



私が、ジーンズのポケットをじっと見ていたのに気づいたのか、汰斗さんは私の頭に手をやり、「あとで、な」と、再びあの甘ったるい微笑みを、私に向けた。



…というか、汰斗さんってこんなキャラだったっけ?



赤くなった顔を隠しながらそんなことを考え、何となく負けた気がしたので、今度は私が、汰斗さんの腕をとり、男性向けのコーナーに行った。



……汰斗さんの、クツクツという笑い声を聞きながら。