その場に突っ立っていたら、後ろから来た人に肩がぶつかってしまい、前方によろけた。



こける…!と思い、目を閉じ体を固くしていたら、固い地面じゃなくて、暖かいものに包まれる。




「い……たく、ない?」




そっと目を開けると、お腹に二つの腕が回っていた。



ハテナを浮かべていたら、耳元で声がした。




「…大丈夫か?」


「…っ、…は、い」




低く、若干かすれた声に、少し体をビクッとさせ、どもりながらも返事をする。



それを見て、汰斗さんはフッと笑い、ゆっくり地面に下ろしてくれた。