傍にいさせて






心の中で二人に謝り、私のお弁当のおかずを強請っている渚くんに、とりあえず卵焼きをあげた。



それを見ていた湊くんが「俺もー!」と、飛びついてこんばかりの勢いで身を乗り出した。


そんな湊くんの首根っこを掴んで阻止した人がいた。




「こら湊ー、そんな飛びつくなって!夏恋ちゃんビビってんじゃん」


「えー、だって渚だけズルくない?」


「まぁな、けどそしたら夏恋ちゃんの食べる分が無くなるぞ?」




相楽さんが湊くんの首根っこを掴みながら、湊くんと話している。



うわぁ…。

湊くんが猫に見える。



……あれ、そういえば、桐山さんたちの制服のカッターシャツの色って、2年生のじゃ…。



気になって、隣にいる渚くんに聞いてみた。




「ん?あぁ、2年だよ」




あっさり。


びっくりするくらいあっさりと言ってのけた渚くん。



でも、1つしか変わらないからって、タメ口っていいのかな…。



そんな考えが顔に出ていたのか、渚くんが付け加えた。




「幼なじみだよ、10年以上もつき合ってたら、敬語もクソもないから」


「そっ…か…仲良しなんだね」




そんなものなのか…。


いいなぁ…幼なじみ。



湊くんと相楽さんのところに、いつの間にか混ざっていた渚くんたちをみながら、そんなことを思った。