何度か逃げだそうと試みたけど、右腕を湊くんにがっちりホールドされて、身動きがとれなかった。
かわいい顔してるくせに、やっぱり男の子なんだ……。
私が若干、意識を別のところに飛ばしていると、屋上の扉が開いた。
「あ、汰斗だ!」
湊くんは、入ってきた人を見ると、嬉しそうに名前を呼んだ。
そっか、あの人は汰斗さんって言うんだ。
これまた何か悪そうな……。
あ、もしかして、湊くんたちのリーダー的な人かな?
うわぁ、どうしよう…私、超場違い。
涙目になっていると、湊くんが、渚くんたちのいる所まで、私を引っ張る。
汰斗さんとやらも、いつの間にか、渚くんたちの所にいた。
え…いや、怖いんですけど…。
私どうしたら…。
「夏恋ちゃん、怖くないからリラックス!昼ご飯食べよ!」
そんなこと言われても……いや、お腹は空いたけど、さ…。
とりあえず、湊くんに言われた通り、お弁当を用意する。


