「まぁ…覚えてなくて当然か…

夏恋ちゃんに最後に会ったのは、確か5才くらいのころだったから」


「そう…だったんですか」


「あ、そんなに気にしないで、うちのバカ息子も、夏恋ちゃんのお母さんのこと、忘れてたみたいだし」


「息子さん…にも、お会いしたことがあるんですか?うちの母と?」


「まぁね、君のお父さんとお母さんは、ある意味有名人だったし、俺たちにとって、家族みたいに大事な人だから」




そう言って、懐かしむような顔をした。


理事長先生とお父さんとお母さんは、知り合いなんだ。

あ、だから私、この学校に決まったのかな…。


この学校以外にも、家から通えるとこなんて、他にもあったし。



……いまだに、お母さんの考えてることは、分からないことが多いな…。




「ま、話は以上だよ、久しぶりに夏恋ちゃんに会えたしね

それより、外で待たせてるボディーガード君たちの所に、早く行ってあげたら?」


「ボディーガード…?……あ、分かりました

じゃあ、教科書ありがとうございました、失礼します」