短編集



ザーっと音をたててシンクに水が流れる。

せっかく久しぶりに会えたのに……構ってくれない。

でもわがままわ言いたくない。

けど……やっぱり寂しいものは寂しいよ。

寂しくなって。目には薄いまくが浮かんだ。

「龍くん……」

小さく本当に小さくいってみた。

フワリ…‐

「なに?杏美」

背中から伝わる体温。

落ち着いていて、いつも心がやすやぐ声。

「龍くん……‐」