いちごあめ

 私の頬にまた一粒の雫がつたった。
 「また、ふー泣いているの?」
 「…違うもん!」
 実際違ってはいないのだが、こう何度も泣いていたらまた昔と変わらない発言をされてしまうから、強がってみた。
 気がついたら赤信号なんてとっくに過ぎていて、もうすぐ私の家の前だった。
 「ふーん。泣いていないんだ…」
 小さく呟かれたひーくんの言葉を私は聞きとっていなかった。