先生との距離

その本人が今目の前にいる。

俺は気付けば声をかけていた。

「何してるんだ?」と…

藤咲はビックっとして後ろを振り返った。

綺麗…

その言葉がピッタリだった。

長い黒髪にぱっちりした二重の瞳、そして細い手足。

「なんで、先生はここにいるんですか?」

「それを聞きたいのはこっちだ」

そういった俺の言葉藤咲は俯いてしまった。

何かマズイ事でも言ったんだろうか?

「私はただ、一人になりたくて…」

そう答える姿はとても悲しそうで、無理に笑っているのが分かった。