あなたへ

それが壱の最後の言葉


私はただ泣いた


確かに壱に惹かれ始めて、恋をしていた


笑った顔が好きだった


たまに悲しげにする顔が切なかった


違う形で出会っていたら私は彼に間違いなく恋をしてただろう


でも今の私には支えていかなきゃいけない人が居る


壱以上に側に居なきゃ行けない人がいる


だからこの気持ちを壱へ抱いたこの気持ちを私は今日封印する


短かった彼との時間


でも確かにそこには大切な大切な思いがあった



私は涙をふいて


彼が待つあの場所へ


そう健が不安で押し潰されているであろう


私たちの家に急いで歩く


忘れよう…これでよかったんだ


私が健を選んだ事はきっと間違いじゃない


そう自分に言い聞かせて


壱への思いを心のそこに静かにしまったんだ