あなたへ

それから壱は泣き止むまで私を抱き締められてくれていた


健は今日も帰りが遅い


『ただいま』


疲れた顔の健


『遅いな何してたんだよ』


壱は健に聞いていた


私はただ健から目を背けた


『バイト先の奴の相談に乗ってた』


健の答えは最近ずっとそれ


『なぁ別にそれは健じゃなくてもいいんじゃないの?』


思わず言ってしまった


『結衣?どうしたんだよ』


『もういい、好きにすれば』


私はそのまま家を飛び出した


追ってきたのは健じゃなくて壱だった


『ちょっと待てよ』


壱に腕を掴まれて抱き締められた


『壱、離して、もういい、もう健がわからない、ほっておいてよ』


もう何もわからない…


壱に優しくされたら私は壱に甘えてしまいそうだから


もうこんな自分が嫌だった