あなたへ

確かに好きじゃなきゃ歌えないそれはわかる

今までこのバンドを知ってる人すらいなかったから

もちろん健も知ってはいるけどあまり聞かない


『始めてだよ人が歌ってるの聞いたの』

『そう?じゃあ何曲か入れるわ』

それから壱は何曲か歌ってくれた

意外な共通点にびっくりした


『本当上手いね、私はこの曲好きだな』


『まじ俺も、何か切なくてでも何か温かい気持ちになれるんだよね』


壱がそう遠くを見て言う


『わかるその気持ち』


壱が知ってるなんて思いもよらなかったからあまりに嬉しくてあれの曲がいいとかあの曲が好きとか


いつのまにか壱とバンドの話で盛り上がっていた


その姿を健が不安そうに見てることも知らずに


健を苦しんでるなんて予想もしてなくて


ただ壱と沢山話しをしていた