そして私を思い出してホストを辞めるきっかけにならないかとここへ引っ越し私と偶然会わないかと再会を期待していた


でも期待は虚しく私と会うことはなくて壱は自分から店に来る決意をしてあの時私の前に現れたのだと話してくれた



『俺さ、やっぱり結衣を忘れられなかった、結衣なら俺を変えてくれる気がしてさ…だからここに引っ越したんだ…結衣の店から近いから、ホスト結衣が辞めて欲しいならしない、結衣が俺の側にいてくれるなら』


壱はそう言った


でも私には側に居る約束は出来なかった


健を捨てて壱の元に行く事が出来るかって言われたらきっと無理なんだ


『壱、ごめんね』


『やっぱり結衣はそう言うんだね…嘘でも側に居るとか言ってくれたら辞める決意固まりそうなのに』



壱は切なそうに笑った