あなたへ

健の膝で私は昔の夢を見ていた

高校の大切な大切な思い出


大好きな友達が居て


大好きな健が側に居て


皆が楽しそうに笑ってる


なのに一人だけ泣いてる


悲しそうに一人で泣いてる


居るはずもない彼が…


そう壱が泣いてる


声をかけたくてもかけれなくて

皆は壱に気づいてなくて楽しそうに笑ってる


壱があまりにも悲しそうに泣いているから私は思わず涙がこぼれてしまう





『結衣、結衣』


健に呼ばれて目を覚ました私の頬には涙が落ちていた


『どうした?』


心配そうな健


何も言わずただ首を横にふった


言葉にしたら夢が崩れ落ちそうで


今あるこの幸せが壊れてしまいそうで


私は夢を飲み込む様に壱の涙を胸にしまった



今この幸せが私の大切な場所だから


壱…あなたは笑ってるよねきっと


私は健の胸に顔を埋めた


こうして大切な一日は辛さと幸せを残して過ぎてしまった