とはいえ、皆が無事に過ごせるのならばそれに越した事はない。

冷え切った体を暖炉の火で温める拓斗。

『拓斗君、お疲れ様。ごめんね?大変な思いをさせて』

無口少女が温かいミルクティーを淹れてきてくれて、現在に至る訳だが。

「……」

ほっと一息ついた後、冷静さを取り戻して拓斗は考える。

当面の寝泊まりの場所は確保できた。

極寒の中、食べ物も満足に得られずに震えながら雪原を彷徨わなければならないという最悪の事態は回避できたのだ。