一時間後。

「た、大変ですっっっ!」

拓斗が激しくドアをノックする音で、喜屋武はベッドの中で眉間に皺を寄せた。

「拓斗さん…あんまり大声出さないでもらえますか…私二日酔いで…」

昨日の冬の飲ませた酒がまだ残っている様子。

「あらあら、喜屋武さん駄目ねぇ…私なんかアレから寝付き悪くて、晩酌したっていうのに」

冬、マジでっ?

「それはそうとどうしたんだ、拓斗。こんな朝から騒いで」

ラルフが白髪を掻きながら言う。

「美奈子さんが…美奈子さんがいないんですっ!」